愚の骨頂
「愚の骨頂(ぐのこっちょう)」という言葉をご存知でしょうか?
新聞や雑誌のコラムなんかでお目にかかることは多いけれど、あまり日常会話では使わない言葉ですね。
ちょっと堅苦しい響きのあるこの言葉、いい意味では使われていませんね。
今回は「愚の骨頂」について解説します。
愚の骨頂の意味とは
「愚の骨頂(ぐのこっちょう)」とは、「このうえなく愚かである、あまりにもばかげている」という意味の慣用句です。
「愚(ぐ)」とは、愚か(おろか)つまり、馬鹿とかあほとかのろまとかそういった意味の言葉です。
そして「骨頂」というのは「程度のもっともはなはだしいこと、これ以上ないこと」という意味の言葉です。
そもそもは「骨張(こっちょう)」と書き、「骨張る(ほねばる)」の音読でした。
骨張るという言葉には、骨が浮き出てごつごつしている、という意味の他に「意地を張る」という意味があり、骨頂は、古くは「意地を張ること、強く主張すること」の意味で使われていました。江戸時代中期の儒学者・新井白石の著書『折りたく芝の記』にその用例を見ることができます。
「程度がこれ以上ないこと」という使われ方をされ始めたのがいつかは定かではありませんが、江戸時代後期の俳人・小林一茶の句に「仏門においては祝ひの骨頂なるべけれ【出典:おらが春】」というものがあります。当時は良いことについても「骨頂」という言葉が使われていたことが伺えます。
幕末から明治になると、現代のように悪いことを表す使われ方をすることが多くなってきたようです。明治時代の作家・二葉亭四迷の小説『浮雲』に「馬鹿の骨頂」という言葉が出てきます。これは「このうえもなくばかげている」という意味ですね。同じく「愚の骨頂」とは「このうえなく愚か」という意味なのです。
愚の骨頂を使った文章・例文
1.油断しない方がいい。彼を侮るとは、愚の骨頂だね。
2.この好機を逃すとは、愚の骨頂もいいところだ。