獅子身中の虫
「獅子身中の虫(しししんちゅうのむし)」という言葉をご存知でしょうか?
小説やドラマの中でよく聞く言葉ですが、いったいどういう意味なのでしょう。
実は、語源は意外なところにあったのです。
というわけで今回は「獅子身中の虫」について解説します。
獅子身中の虫の意味とは
「獅子身中の虫(しししんちゅうのむし)」とは、獅子の体内に寄生して、ついには寄生した獅子を殺してしまう虫、という意味から転じて、「自分が所属している組織であるのに関わらず、その組織にダメージを与えるようなことをする人物、また恩を仇で返す者のこと」をいう言葉です。
この言葉の語源は、実は仏教にあります。出典は、仏教の経典『梵網経』から。
その中に「獅子身中の虫、自ら獅子の肉を食らい、余外の虫に非ざるが如し。是くの如く仏子自ら仏法を破り、外道・天魔の能く破壊するに非ず(訳:獅子は自分の体内の害虫に食われて死ぬのであり、外からの虫に食われるのではない。これと同じように悪い仏徒が自ら仏法を破壊するのであり、異教の思想や仏道の修業を妨げている魔が仏法を破壊するのではない)」という一節があります。
つまり、「獅子身中の虫」とは、そもそも「仏徒(仏の弟子)なのに、仏教に害を与える者」という意味でした。それが転じて、今のような意味になったといわれています。
「身中の虫」とは、体の中に寄生する虫のことを表しているため、「獅子心中の虫」と表記するのは誤りですので、注意しましょう。
獅子身中の虫の類語
「獅子身中の虫」の類語には以下のようなものが挙げられます。
・恩を仇で返す
・飼い犬に手を噛まれる
・庇を貸して母屋を取られる など。
獅子身中の虫を使った文章・例文
1.内部情報をリークする者がいるとは。これぞ獅子身中の虫だな。
2.いったい誰が獅子身中の虫なのか、社内は戦々恐々としている。