荒む
皆さんは「荒む」という言葉をご存知でしょうか。
「荒」という漢字の用例は、まず「荒れる」や「荒い」などが挙がるでしょう。
「荒む」と書いて「すさむ」という読み方をするということを挙げる人は少ないと思われます。
しかし「心が荒む」と書けば、「そういえばそんな読み方もあった」と思い出せるのではないでしょうか。
今回は「荒む」という言葉について詳しく解説します。
荒むの意味とは
荒むとは「心の状態や行動などが乱れてきて、おおらかさや余裕がなくなる」「物事の繊細さや上品さが失われて、粗雑で荒れたようになる」という意味です。
読み方は「すさむ」です。
「荒」という漢字の訓読みを挙げると、「荒い(あら・い)」「荒れる(あ・れる)」「荒らす(あ・らす)」そして「荒む(すさ・む)」です。
「荒む」だけ異質に見えますが、これは古文の動詞「すさぶ」の音が変化して「すさむ」になったものに漢字を当てたものだからです。
「すさぶ」は「心のままに。気の向くままに。」「盛んに、ほしいままに○○する」「衰えて止む」といった意味の言葉です。
一見、今の意味からは程遠いように見えますが、用例を見てみると「そのあたりにおいてあった琴を引き寄せて気の向くままに弾いた」などとあるので、ニュアンスとしては「形式ばらずに、気まぐれに、適当に」というような感じが近いかと思われます。
この意味を「無秩序、洗練されていない」と解釈することで現在の「荒んだ」という形容になっていったのではないかと思われます。
荒むの使い方・例文
- 登場人物が理不尽に迫害されるような物語を見聞きすると、心が荒むような気がする。
- 久しぶりに会った友人は荒んだ生活をしているようだった。