蔑ろ
「蔑ろ(ないがしろ)」という言葉をご存知でしょうか?
「蔑ろにする」などとも云いますね。テレビや雑誌などでもよく見聞きしますし、ご自分でも使われる方も多い言葉ではないでしょうか。
しかし、その正確な意味をご存知の方は少ないのでは?
というわけで今回は、「蔑ろ」について解説します。

蔑ろの意味とは
「蔑ろ(ないがしろ)」とは、あってもないもののように軽んじるさま、という意味の言葉です。
「無きが代(なきがしろ)」がイ音便化されたもので、「代」とは「代わりとなるモノ」という意味となります。
つまり「代が無い(しろがない)」、代わりとなるモノすら用意しない、それほど軽んじるさまを表しています。
もうひとつの意味として、人目を気にしないこと、だらしないさま、というのがありますが、現代ではあまり使われることはありません。
この用法は、皆さんよくご存知の『源氏物語』に出てきます。「あやしき馬に狩衣姿の蔑ろにて来ければ【現代語訳】みすぼらしい馬にかりぎぬのだらしない姿で来たので《末摘花》」
蔑ろの類義語
「蔑ろ」の類義語には以下のようなものが挙げられます。
・軽視(けいし)
【意味】軽く見ること、軽んじること
【例文】交通安全指導を軽視すると、思わぬ事故を引き起こすことになる。
・疎か(おろそか)
【意味】いいかげんに済ませたり軽く扱ったりして、真面目に取り組まないさま
【例文】内申点を下げたくなければ、宿題を疎かにしないことだ。
蔑ろを使った文章・例文
1.連絡が遅くなったのは謝るよ。君を蔑ろにするつもりはなかったんだ。そのことだけは信じてくれ。
2.「戦争をしてもいい」などと云う発言は、日本国憲法の精神を蔑ろにすることに他ならない。