サシ
「サシ」という言葉をご存知でしょうか?
「サシで話そうじゃないか」とか「今日はサシで飲むぞ」なんてよく言いますよね。
また、霜降り肉を「サシが入って美味しそうだ」などと表現することもあります。
今回はそんな「サシ」について解説します。

サシの意味とは
「サシ」とは、「差し向う、差し向い」の「差し」で、「二人で向き合うこと」を表す言葉です。
そこから一対一(1対1)で何かを行うことを「サシ」というようになりました。
ですから「サシで話す」というのは、他に人を介さず一対一で話し合うことという意味になります。
また「サシで飲む」とは、二人だけでお酒を酌み交わすこととなります。最近では、サシで飲むことを「サシ飲み」と略すことも多くなりました。異性と二人だけで飲みに行くことを「サシ飲みデート」と云います。
「サシ」の成り立ちは定かではありませんが、近代に入ってから使われるようになりました。大正時代の小説家・水上滝太郎の作品でその用例を見ることができます。
「帳場をしまって、湯に入って、からだの楽になったかみさんと、さしで遊ぶのがお決まりだ(『大阪の宿』1926年)」
また、昭和の小説家・松本清張の作品でも「真実の叱責であったら、人を遠ざけ、一対一(サシ)で云えばよい(『葉花星宿』1972年)」という一節がでてきます。
「サシが入る」とは
一般に、赤味肉の間に細かく脂肪が分布していることを「サシが入る」といいます。
細かくサシが入った霜降り肉は、高級品として知られています。
この場合の「サシ」とは、「差し込む」の「差し」です。脂肪が肉の間に細かく差し込んでいることからそう呼ばれるようになりました。
サシの使い方・例文
1.今日こそは腹を割ってサシで話そうじゃないか。
2.今夜のサシ飲みで気になる彼女をゲットだぜ。
3.このすき焼肉はサシが入ってて旨そうだ。