暗喩
「暗喩(あんゆ)」という言葉をご存知でしょうか?
文章を書くのが得意な方ならピンとくるかもしれませんね。
暗喩は、隠喩(いんゆ)とも呼ばれ、英語でメタファーといいます。
何だかカッコいい響きの言葉ですが、いったいどういう意味なのでしょうか。
今回は「暗喩」について解説します。
暗喩の意味とは
「暗喩(あんゆ)」とは、比喩表現(たとえ・見立ての意味)のひとつで、「~のような」とか「あたかも~」などと他のものにたとえて表現する明喩(めいゆ)ではなく、比喩表現でありながら、比喩であることを明示しないという修辞技法です。隠喩(いんゆ)とも、英語でメタファーとも呼ばれます。
修辞技法というのは、文章表現のテクニックのことです。修辞技法を使うことで、文章表現に広がりや深みを持たせることができます。
「君は僕の太陽だ」というときの、「太陽」が暗喩にあたります。この文章では「君」イコール「太陽」ということになっていますが、実際には「君は僕(にとって)の太陽(のような存在)だ」という意味ですよね。この文章は「君」を、他のもの「太陽」になぞらえて「僕」の気持ちを表現しているわけです。
このような文章の表現技法を暗喩といいます。

その他の比喩表現
修辞技法には、「暗喩」の他にもいくつかの比喩表現が存在します。
・明喩(めいゆ)
比喩であることが明確な比喩表現。直喩(ちょくゆ)とも。
【例文】真夏の陽射しがまともに差し込む部屋は、まるでサウナのようだった。
・換喩(かんゆ)
ある物事を、それに関連する事柄や連想されるものに置き換えて表現する技法。
【例文】二本差しが怖くて田楽が食えるか!
(二本差しとは、武士(さむらい)のことを指す)
・提喩(ていゆ)
ある物事を、それを含む大きなくくりの言葉で表したり、
部分が全体を表現したりする技法。
【例文】願はくは花の元にて春死なむその如月の望月のころ(花とは桜のこと)
暗喩を使った文章・例文
「暗喩」という言葉そのものを使った文章・例文
1.暗喩を使って文章を作るのは難しい。
2.意味が分からないんだけど、それって何の暗喩なの?
暗喩の技法を使った文章・例文
1.出口のないトンネルを彷徨う僕にとって、君だけが僕の光だった。
2.彼女は冴え冴えとした冬の月だ。何者をも寄せ付けない威厳と美しさを備えている。