木を見て森を見ず
「木を見て森を見ず」という言葉の意味をご存知でしょうか。
ビジネスや政治などのニュースで一度は聞いたことがあるかと思います。一見矛盾しているようにも見えるこのことわざの意味や使い方、またその意外な由来なども詳しく解説していきます。
木を見て森を見ずの意味とは
木を見て森を見ずとは、「小さなことにとらわれ、全体を見渡せていない」という意味になります。
一本の木を注視するあまり、森全体のことを忘れてしまっているという意味から、個人の利益や目的を優先し、組織全体のことを考えずに大勢に迷惑をかけることを指す言葉です。また組織が自らの保身のために国や地域などのより大きな範囲に影響を及ぼす場合にもこの言葉が用いられます。
木を見て森を見ずの類語・対義語
類語には「鹿を追う者は山を見ず」などが挙げられます。利益を追求するあまり、周囲への被害を考慮しない様を言い表しています。
反対の意味を表す対義語には、「鹿を逐う者は兎を顧みず(しかをおうものはうさぎをかえりみず)」が挙げられます。大きな利益を狙うものは小さい利益には一切目をくれないという意味になります。
木を見て森を見ずの由来
由来は西洋各地で使われることわざの「木はしばしば森を隠す」や「木を見ているものは森を見ることができない」が日本に流れてきたといわれています。英語・ドイツ語・フランス語など様々な言語で同様の言い回しが存在するため、どれが最初に入ってきたのかははっきりとしていません。
ちなみに英語では「You can not see the wood for the trees」などの表現がされます。
木を見て森を見ずを使った文章・例文
〈例文〉
- 若い頃は自分が何点取れるかしか考えず、チームの勝ち負けは二の次だった。まさしく木を見て森を見ずだった。
- あの政党のごたごた劇は、結局のところ木を見て森を見ずな政治家の未熟さが招いたことだ。