元の木阿弥
「元の木阿弥(もとのもくあみ)」になった、と言われて、どういう状況を連想するでしょうか。
だいたいの人は天国から地獄へ、というような、良い状況から悪い状況への転落をイメージするでしょう。
では、「木阿弥」とは何を意味する言葉なのか、ご存知ですか?
今回は「元の木阿弥」という言葉について詳しく解説します。
元の木阿弥の意味とは
元の木阿弥とは「ひと時良い状態であったものが、元の悪い状態に戻ること」という意味です。
読み方は「もとのもくあみ」です。
「木阿弥」とは人の名前です。
大和国の大名・筒井順昭という人物が不治の病にかかってしまったが、後継ぎがまだ幼いため一家存続の危機に陥ってしまいます。
そこで順昭は、自分とよく似た容姿を持つ男である木阿弥という人物を影武者に指名しました。木阿弥は順昭の死後、彼の身代わりとなって病床に臥せっているふりをしながらも、大名のぜいたくな暮らしを楽しんでいました。
しかし後継ぎが無事育ったため、彼は影武者の任を解かれて、元の庶民の暮らしに戻ることになりました。
この話が「元の木阿弥」という言葉の由来だと言われています。
「元の木阿弥」の語源は他にもあります。
妻と離縁して出家した木阿弥という男が木の実だけを食べる厳しい修行の日々を送っていたが、飢えに耐えられなくなって妻と復縁し、修行を積んだことを台無しにしてしまったという逸話が由来である、とする説です。
いずれにしても「木阿弥」が人の名前であり、良い状態だったのが一瞬で元に戻ってしまった人である、ということは間違いないようです。

元の木阿弥を使った文章・例文
- 彼女はダイエットに成功したが、リバウンドによって元の木阿弥になってしまった。
- せっかく株で稼いだのに、売り時を間違えて元の木阿弥だ。