フーテン
「フーテン」という言葉をご存知でしょうか?
若い方には馴染みがない言葉かもしれませんが、昭和世代ならばピンとくるのではないでしょうか。
そう、昭和の国民的映画『男はつらいよ』の主人公・寅さんこと「フーテンの寅」です。
では「フーテン」とはいったいどういう意味なのでしょう。
今回は、知っているようで知らない「フーテン」について解説します。

フーテンの意味とは
「フーテン」とは、職業に就かず、異様な風体で盛り場などをふらつく人。また、家も定職も持たず、放浪生活をする人のことです。
そもそも「フーテン」とは、漢字で「瘋癲」と書き、精神の状態が正常でないこと、精神疾患を持つ人のことを指す言葉でした。
それが漢字の「瘋癲」ではなく「フーテン」といわれるようになり、無職でふらふらしている人のことを指すようになったのは、1967年(昭和42年)に、ヒッピー風の服装をして、新宿駅前にたむろする無気力な若者たちを「フーテン族」と呼んだことがきっかけといわれています。
1968年には『男はつらいよ』がテレビドラマで放映され、主人公の寅さんは自らを「フーテンの寅」と名乗っていますが、寅さんは的屋というきちんとした職業を持っていますので、厳密には「フーテン」とは言えないと思われます。
フーテンの類義語
「フーテン」の類義語には以下のようなものが挙げられます。
・プータロー
【意味】働きもせず、無気力にふらふらしている者。略して「プー」
・風来坊(ふうらいぼう)
【意味】どこからともなくやってきてどこへとも知れずに去っていく人のこと
フーテンを使った文章・例文
「私、生まれも育ちも東京葛飾柴又です。姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します。」
出典:『男はつらいよ』(1968年)より